P2P地震情報 開発ログ

気象庁の地震情報・津波予報とユーザの「揺れた!」という情報を共有するサービスの開発記録です。

地震感知情報の有効性と判定方法に関する調査結果(2)

 先日「地震感知情報の有効性と判定方法に関する調査結果」を公開しましたが、より精度を高めるため新しいデータを加えて再調査を行いましたので改めてお知らせします。

調査方法

  • 期間:2007年1月1日~6月30日
  • 対象:P2P地震情報において、感知数が3件以上と表示される地震感知情報(192回)
  • 内容:表示精度の改善

調査結果 - 概要

  • 対象のうち、実際の地震によるものと推測される「有効情報(有効な地震感知情報)」は67%でした。
  • 新たな判定条件を取り入れ調整した結果、半年間のデータにおける無効情報(誤った地震感知情報)の表示はゼロ、かつ有効情報の表示率は78%となりました。
  • 現在のバージョンにおいて「全ピアに対して1%以上の件数で表示」とすると、有効情報の表示率は21%から55%になりますが、無効情報が6%表示されることが分かりました。

調査結果 - 詳細

 集計した地震感知情報について、合計件数と、感知度・割合・大地域割合・地域発信割合のそれぞれ最大をデータとして集計しました。

感知度
 「件数÷1件目受信からの経過秒数」で求めた、1秒あたりの地震感知情報の受信数。3件目以降、1件受信するたびに再計算する。
割合
 「合計件数÷その時の全ピア数」で求めた、全ピア数に対する地震感知情報の件数の割合。
大地域割合
 「北海道」「東北」「関東」「北陸甲信」「東海近畿」「中国四国」「九州」「沖縄」の8つに区分したものを「大地域」とし、「各大地域の件数÷件数計」で求めた、件数のうち各大地域が占めている割合。3件目以降、1件受信するたびに再計算する。
地域発信割合
 P2P地震情報の地域設定の区分を「地域」とし、「各地域の件数÷その時の各地域のピア数」で求めた、地域のピア数に対する地震感知情報の件数の割合。各地域で3件以上の地震感知情報がある場合、1件受信するたびに再計算する。

 今回、度々指摘されていた「ピア数の少ない地域における地震感知情報の扱い」を改善するため、地域発信割合の集計を加えました。

 集計した地震感知情報は192回でした。そのうち、実際の地震によるものと推測される「有効情報(有効な地震感知情報)」は67%(128回)、実際の地震と関係のない「無効情報(無効な地震感知情報)」は33%(64回)でした。この地震感知情報について、精度の高い新たな判定条件の組み合わせを調べました。そして、現在のバージョンにおける初期設定・カスタム設定と、今回作成した判定条件の組み合わせによる「有効情報」および「無効情報」の表示率を調査しました。

現バージョン 新しい判定条件
(表示率)初期カスタム2% カスタム1% 前回作成 今回作成
有効情報21.1%41.4% 55.5% 75.8% 78.1%
無効情報0.0%0.0% 1.6% 7.8% 0.0%
現バージョン
 現在のバージョンにおいて「30秒間の受信数が全ピアの~%以上」の指定が、初期設定で5%、カスタム2%で2%、カスタム1%で1%とした場合。
新しい判定方法
 調査した地震感知情報をもとに、「前回作成」は前回調査時に作成した、「今回作成」は今回調査時に作成した、それぞれ新しい判定条件の組み合わせを採用した場合。

 有効情報の表示率は、初期設定で21%しかありません。前回作成した新しい判定条件では、有効情報の表示率が76%まで改善する一方で無効情報の表示率が7.8%になりました。新たな判定条件を取り入れ再調整した結果、今回作成したものは、無効情報の表示率をゼロに抑えたまま有効情報の表示率を78%に改善出来ました。

 より判定条件の精度を高めるため、今後も地震感知情報の調査を続けます。調査の結果作成された判定条件は、最新のリリースに随時取り込む予定です。

 なお、今回調査に使用した地震感知情報の集計を公開します。ただし、このファイルに関する質問は一切受け付けませんのでご注意ください。 →070721_userquake.xls