P2P地震情報 開発ログ

気象庁の地震情報・津波予報とユーザの「揺れた!」という情報を共有するサービスの開発記録です。

地震感知情報の誤報に関する精査結果

 ※3/29 23:45 最下部に追加調査の結果を掲載しました。

 ユーザー同士で地震の発生を伝達する「地震感知情報」について、地震に対する感知情報ではないいわゆる「誤報」に関する調査を行いました。その結果を公開します。

調査方法

  • 期間:2007年3月4日~10日(前期・特に大規模な地震はない) および 3月21日~27日(後期・能登半島地震の前後)
  • 対象:期間中のすべての地震感知情報のうち、誤報と認められる分
  • 内容:連続発信が行われていないか、その他に何かしらの関連性が認められるかの調査

調査結果 - 概要

  • 誤報の割合に有意な差はありませんでしたが、そのうち故意に行われた可能性がある分は大きな差が見られました。
  • ただし、連続発信制限の対象となるような明らかに悪質な分は常にほぼ一定で、誤操作による発信が増えたためと推定しました。(※03/29 00:52変更)
  • 連続発信制限を実施した場合でも、誤報の削減率は5%以下であることが分かりました。
  • 残りの誤報は関連性がなく、削減する方法は見つかりませんでした。

調査結果 - 詳細

 調査にあたっては、次のような定義を設けました。

正しい感知情報
 地震発生時刻から約2分間程度に発信された感知情報や、それに続く一連の情報として表示される感知情報。
誤報
 感知情報全体から「正しい感知情報」を除外したもの。
故意?(故意の可能性がある)
 誤報の中に含まれる、同一IDから30分以上の間隔を置かずに発信された感知情報。
制限対象
 誤報の中に含まれる、連続発信制限の規制対象となる感知情報。

 また、連続発信制限にあたっては次のような仕組みを仮定し、正しい感知情報を妨げないことを確認しています。

  1. 感知情報を発信すると、5分間の発信制限が掛かります。
  2. 発信制限が解除されてから1分間、制限強化時間とします。
  3. 制限強化時間中に感知情報を発信すると、発信制限が1分増加します。
  4. 制限強化時間後、発信制限は5分間に戻されます。
前期後期
全件数146件464件
全体のうち誤報56件
(38.54%)
217件
(46.77%)
誤報のうち故意?5件
(8.93%)
68件
(31.34%)
誤報のうち制限対象5件
(8.93%)
27件
(12.44%)
連続発信制限
誤報の減少率
2件
(3.57%)
9件
(4.15%)

 誤報の割合は後期に上昇していますが、有意な差であるとは認められませんでした。

 一方、誤報のうち故意の可能性がある割合は、前期と後期で大きく差が見られます。しかし、制限対象となる割合についての差は大きくありません。このことから、「明らかに悪質性のある誤報は常に一定割合存在すること(状況によってはわずかに増加することもある)」と「『故意の可能性』に差が見られるのは、新規利用者による誤操作などがあるため」と推定します。

 連続発信制限を実施することによる誤報の減少率は、前期・後期とも5%以下と小さく、効果が高いとは言えませんでした。

 誤報と判断したそのほかの感知情報については、関連性が見られず効果的に削減する方法は特に見つかりませんでした。

データソース

 精査に用いたデータは次の通りです。

 データ中に含まれる「真偽」とは、その感知情報が地震に対するものだったかどうかを示したものです。「△」「□」は情報が不足していたため判定出来ませんでした。「件数」は、P2P地震情報において認識される感知数です。「ユーザID」は保護のため置き換えています。

追加調査(3/29)

 今度使えるデータかどうか分かりませんが、調べるのに結構時間掛かったので記録しておきます(?)。1件の感知情報をフィルタリングした場合の効果を調べたものです。

正しい不明誤り
前期件数89156146
表示回数換算1115062
1件フィルタ
適用時減少数
(件数減少率/表示減少率)
4
(4.5%/12.4%)
1
(100%)
45
(80.4%/89.3%)
50
(34.2%/42.5%)
後期 件数 232 15 217 464
表示回数換算 31 8 172 211
1件フィルタ
適用時減少数
(件数減少率/表示減少率)
17
(7.3%/13.4%)
5
(33.3%/53.3%)
137
(63.1%/79.3%)
159
(34.3%/45.5%)
合計 件数 321 16 273 610
表示回数換算 42 9 222 273
1件フィルタ
適用時減少数
(件数減少率/表示減少率)
21
(6.5%/13.1%)
6
(37.5%/56.3%)
182
(66.7%/81.3%)
209
(34.3%/44.8%)